以上
17・307
25
25日午後4時ころ,体温は35.6℃であり,黄疸がみられた。
(乙A6の310頁)
キ4月26日午前8時ころ,血液検査が実施され,CRP11.8mg/dl, 白血球数18.9×10 /μl,カリウム7.3mEq/l,尿素窒素86mg 3 /dl,クレアチニン5.0mg/dlであった。
午前8時20分ころ,嘔吐があった。
午前9時ころ,末梢冷感があり,体温は34.7℃,収縮期血圧90台, 無尿であった。
被告病院の医師らは,急性腎不全と判断し,緊急血液透析を実施した。
同日実施された超音波検査の結果,肝臓に腫瘍,胆管拡張及び腹水は認 められなかった。
同日から,抗生剤がセファメジンンに変更され,ガンマ ・ベニン(重症感染症に対し抗生物質と併用して投与される血液成分製剤) と併用し投与された。
Dには,失見当識,不明言動がみられた。
(以上乙 A6の17ないし19・145・154・312ないし315・323 頁)
ク4月27日午前8時ころの血液検査の結果は,CRP9.4mg/dl,白 血球数16.1×10 /μl,カリウム4.8mEq/l,尿素窒素75mg/ 3 dl,クレアチニン4.3mg/dlであった。
また,同日の血液透析後の血液 検査の結果は,CRP8.8mg/dl,白血球数12.6×10 /μl,カ3 リウム3.8mEq/l,尿素窒素33mg/dl,クレアチニン2.0mg/dlで あった。
Dには,失見当識,傾眠傾向,不明言動など意識状態の悪化がみ られた。
午後7時20分ころ,気管内挿管がされ,人工呼吸器にて呼吸管理がさ れることになった。
同日,Dの肺炎は軽度と判断された。
(以上乙A6の23・146・1 55・322ないし324頁)
(2) 以上を前提に,本件PEIT実施後の感染症対策の適否について検討す る。
遅延損害金
被告が原告Cに対して行った,原告A出産に至るまでの診療行為に過誤があり,その結果,原告Aに障害が生じたとして,被告に対し,診療契約上の債務不履行又は不法行為に基づき,原告Aが損害賠償金1億0946万0706円の内8100万円と弁護士費用800万円の合計8900万円,原告C及び原告Bが各損害賠償金1000万円の内500万円と弁護士費用50万円の合計各550万円並びにこれらに対する不法行為の日である平成9年9月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
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ア本件PEIT実施後,午後10時ころに発熱が認められている(38. 3℃ 。
もっとも,PEIT) ・RFAのいずれの治療法でも,治療後の発 熱は大部分の症例で認められるとされること(甲B11の添付書面3), 本件RFA実施の際も翌日に発熱がみられたこと(乙A6の283頁), 20日午後10時ころ発熱が認められた際,ボルタレン坐薬を挿肛せず, クーリングの実施のみによって翌21日には36℃台になったこと((1) アイ)からすれば,上記20日午後10時ころの発熱をもって感染症等の 異常兆候とみることはできない。
イしかし,21日午後には微熱が復活し,23日午後2時ころの体温は3 7.7℃,血液検査の結果,CRP値が5.0mg/dlと明らかな感染兆候 を示した。
白血球数は9.0×10 /μlと基準値内ではあるが,4月1 3 9日時点の白血球数は4.1×10 /μlであったから(乙A6の144 3 頁),4日のうちに倍以上に増加したことを示しており,やはり感染症を うかがわせる兆候と解される。
ウそして,F医師らは,超音波検査の結果肝臓に異常がみられない一方, 胸部X線検査により肺の陰影増悪が認められたことから,呼吸器感染の増 悪と判断し,クラリス及び咳嗽増強時にはクラビットを投与して経過観察 することとしたものであるが((1)エ),クラリスは,非定型抗酸菌症の 治療薬として入院中継続的に投与されていたものであり(乙A6の278 ないし303頁),かかる投与にもかかわらずDが明らかな感染兆候を示 したのであれば,クラリスは,Dに感染兆候を引き起こしている感染症に 無効なものと評価されるのであるから(甲B11,鑑定の結果),当該感 染症に対応するため,抗生剤の変更又は新規投与が必要というべきである。
また,クラビットは咳嗽増強時にクラリスに代わって内服するよう医師 の指示がなされていたところ,4月12日ないし22日までの間にクラビ ットが投与された形跡はないことから(乙A6の278ないし301頁の 各指示にはクラビットを咳嗽増強時に内服する旨記載されているが,30 3頁と異なり,クラビットの項目に看護師の押印がないので,実際には投 与されたとは認められない。),クラビットが当該感染症に無効と評価す ることはできないものの,仮にクラビットを投与して経過観察を行うので あれば,クラリスが無効であると評価される以上,「咳嗽増強時」に限定 して投与を行うのは不適当であり,少なくとも継続的な投与を指示すべき ものである。
しかるに,F医師は,Dに発症した感染症に無効と評価されるクラリス を継続投与することとし,かつ,クラビットの投与は咳嗽増強時との指示 を変更しなかったものであり(乙A6の303ないし309頁),DはCh ild-Pugh分類でChild Cの重症肝硬変患者であり,肝硬変患者は,免疫組 織である肝細網内皮系の機能が低下するため免疫力が低下し,特に重症の 肝硬変患者は易感染性宿主と考えられていること(甲B3の1,B11, 鑑定の結果)に照らせば,F医師の上記対応はDに対する感染症対策とし て適切さを欠き,注意義務に反するものというべきである。
なお,F医師は,Dが,本件PEITの際又は4月23日に診察をした 際に,「クラリス及びクラビットを内服していたので,抗生剤投与はいら ない」旨申し出たことから,抗生剤を投与せず,「何かあればクラビット を服用してください」と指示していた旨供述する(乙A8,証人F51な いし52頁)。
しかしながら,仮に上記のとおりDが発言したとしても, 上記発言は,クラリスが上記感染症に無効と評価されることの説明を受け た上でのものではないから(証人52頁),F医師がかかるDの希望に従 って抗生剤の変更又は新規投与を行わなかったとしても,これをもって医 師の注意義務を尽くしたものということはできない。
3 争点(3)(説明義務違反の有無)について
(1) 一般に,医師は,患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たって は,診療契約に基づき,特別の事情のない限り,患者に対し,当該疾患の診 断(病名と病状,実施予定の) 手術の内容,手術に付随する危険性,他に選 択可能な治療方法があれば,その内容と利害得失,予後などについて説明す べき義務があり,また,医療水準として確立した療法(術式)が複数存在す る場合には,患者がそのいずれを選択するかにつき熟慮の上判断することが できるような仕方で,それぞれの療法(術式)の違いや利害得失を分かりや すく説明することが求められると解される(最高裁平成13年11月27日 第三小法廷判決・民集55巻6号1154頁参照)。
(2) 本件RFAについて,説明義務違反の有無を検討する。
ア本件RFAの適応
1(4)で認定のとおり,Dの腹水が「コントロール不能の腹水」でない ことの確認が取れないこと,腹水のコントロールのためには少し時間がか かるため,ある程度長期の入院加療が必要になること及び腹水がコントロ ール不能である場合は出血の危険が上昇することは説明していないと認め られ,このことは,上記手術に付随する危険性につき十分な説明を尽くし ていないものと評価せざるを得ない。
イ重大な合併症の危険性
証拠(甲B2,B3の1,乙B3)によれば,RFAの合併症として肝 不全があり得ること,肝硬変の患者の場合,手術侵襲が術後肝不全の誘因 になりやすいこと,Child Cの症例はChild A又はBの症例に比べて合併 症発症率が高いと報告されていることが認められる。
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